「命ぐすい耳ぐすい 」 #507〜県医師会編〜
「 乳がん検診・今昔物語 」
早期発見、治療でほぼ完治
20歳以上の女性の皆さん。
今、乳がんは女性の23人に1人の割合で発生し、残念ながら女性に発生するがんのトップです。しかも、他のがんが減少傾向を示しているのに乳がんは年々増加してきているのです。そこで今回は私の専門である乳がん検診について話題を提供したいと思います。
乳がんは早期に発見し、かつ適切な治療を行えばほとんど治ります。しかし、自覚症状に乏しく、早期発見するには検診が極めて重要と言えます。皆さんが乳がん検診を受けているのは、当然早期発見を期待しているからですよね。
そこで質問です。皆さんが受けている乳がん検診とはどういうものですか。もしかするとお医者さんが、乳房を視て、触って、何もなければ「大丈夫ですよ」と言ってくれる視触診検査ではありませんか。「え!?、それが乳がん検診でしょう」と答えた皆さん、次の事実を知っていますか?
厚生労働省久道班が1998年「乳がん触診検診は『死亡率減少効果がないとする相応の証拠がある』とし事実上無効」と発表しました。つまりお医者さんがあなたの乳房を見て触る検査だけでは乳がんの早期発見は困難ですよと言っているのです。
事実、沖縄県の乳がん検診率は他県にくらべ高いのですが、残念ながら死亡率は減るどころか増えています。せっかく勇気を出して乳房を触ってもらっているのにです。「それなら意味のない乳がん検診はもう受けない」などと投げやりにならないで下さい。乳がん早期発見の方法は実はあるのです。
それはマンモグラフィー(おっぱいのレントゲン)検査と乳房エコー検査です。乳がん検診先進国の欧米ではマンモグラフィー検査を導入し、そして乳がんの正しい治療を実施した結果、ここ数年乳がんの死亡率が下がり始めてます。これは早期発見されれば、乳がんは治るという証拠です。厚生労働省も乳がん検診項目にマンモグラフィー検査を明記し、実際実施する市町村も増えており、県内にも専門施設がいくつかあります。自分の乳房を知る上で良い機会でもあります。
大事な乳房を守るためにも専門の検査技師、放射線技師がいる施設を訪ねてみましょう。早期発見は美容上もメリットがありますが、何よりも「命どぅ宝」を実感できますよ。
●宮良球一郎(宮良クリニック院長)
平成17年8月31日(水)
沖縄タイムス掲載
求められるチーム医療のなかの医師像
「ちゅらさん」で有名になった小浜島(私の故郷)は,幼少時「医介補」が島の健康を守っていた。しかし、少しでも病が重くなると、ヘリ依頼や用船などできない時代なので、石垣島で医師の診察を受けるため、一日一往復の小船に揺られ通った。
その時、私の目には医師は全人格者であり、全島民の尊敬を集め、一人でどんな病気でも治すスーパーマンのように映った。
今、私は内分泌、特に、乳腺を専門に日常診療を行っている。乳がん診療は,一人の乳腺外科医だけで診断から治療を行うことは困難であり、他科の医師、技師、看護師、患者がタッグを組み、病診・診診連携も組み合わせたチーム医療が不可欠で、昔のように一人の医師だけでは到底太刀打ちできない。
しかし、患者中心のチーム医療も、一人でも不心得者がいると、その結束はいとも簡単に崩れてしまう。それが医師であれば、なおさらである。それは患者さんへ正しく安全な医療が提供できないことを意味する。
医師は時代がどんなに移り変わろうとも、奢ることなく、礼節を重んじ、人間性に優れていなければならない。昔、私が信じていた医師のように。
私は約二十年続けた勤務医を卒業し、今年四月に乳腺専門クリニックを開設する。医の倫理綱領の【医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす】ことを肝に銘じ、「和,輪,環」を重んじるチーム医療を実践していきたい。
●宮良球一郎(宮良クリニック院長)
平成17年3月20日(日)
日本医師会ホームページ
「勤務医のひろば」掲載
|